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内分泌・甲状腺疾患
甲状腺機能亢進症
血液中の甲状腺ホルモンが増えると、手が震える、胸がどきどきする、汗が多く出る、イライラする、暑がりになる、痩せる、下痢、月経不順、体温上昇といった症状が出てきます。どれか一つの症状だけ現れるのではなく、通常は複数の症状が同時に現れます。甲状腺機能亢進症を引き起こす病気としては、バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、妊娠一過性甲状腺機能亢進症があります。
バセドウ病
- 病気の特徴
甲状腺は腫大することが多くあります。甲状腺から過剰に分泌された甲状腺ホルモンによる症状と、バセドウ病眼症などの甲状腺外の症状を特徴とします。 - 原因
甲状腺を刺激する抗体(TSH受容体抗体)が原因と考えられていますが、本当の原因は分かっていません。 - 検査
採血にて甲状腺機能やTSH受容体抗体を測定します。また甲状腺超音波検査(エコー)を行い甲状腺内の状態や血流を確認し診断いたします。 - 治療
治療には「薬物療法」、「放射線療法」、「手術療法」があります。患者さま各々の病状や環境、希望などを考慮しつつ抗甲状腺薬による薬物療法、放射線療法、手術療法の中から治療法を選択、あるいは組み合わせて行っていきます。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能が低下してくると全身の代謝が低下するため、体のさまざまな機能が低下し多彩な症状が出現してきます。皮膚乾燥や、脱毛、足のむくみ、便秘、寒がり、月経異常などです。甲状腺機能低下症を引き起こす主な疾患としては慢性甲状腺炎(橋本病)があります。慢性甲状腺炎をお持ちの患者さまがすべて甲状腺機能低下症を引き起こすわけではなく、慢性甲状腺炎の4~5人に1人未満程度の方に治療が必要になると言われております。治療は甲状腺ホルモン補充療法を行います。また慢性甲状腺炎の患者さまはヨウ素過剰摂取により甲状腺機能が低下することがありますので、昆布(ヨウ素が多く含まれております)やヨウ素含有のうがい薬、ヨウ素含有造影剤検査には注意が必要です。
妊娠と甲状腺疾患
甲状腺疾患は若年女性に比較的多く、甲状腺疾患をお持ちの方が妊娠・出産を経験することは甲状腺疾患を診療していると、よくあります。バセドウ病や甲状腺機能低下症・慢性甲状腺炎で治療中の方でも、状態が落ち着いていれば妊娠することに問題はありません。しかしながら、妊娠中や授乳中では、使用する薬物を変更したり容量を調節したりする必要があります。また妊娠のしやすさと甲状腺機能に関連があるということが、最近多く報告されておりますし、産後にバセドウ病や慢性甲状腺炎の病態が悪化することも多くあります。
このように、妊娠・出産と甲状腺機能は密接に関連しております。ご心配なことやご不明なことがありましたら、一度相談してみてください。
内分泌疾患
原発性アルドステロン症
原発性アルドステロン症は副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌することで起こります。
内分泌性高血圧の代表的疾患で一般の高血圧症の3~10%が原発性アルドステロン症であるといわれています。若いのに高血圧がある場合はさらに可能性が高まります。早期に発見され手術により原因腫瘍を切除できると、高血圧が軽快することも期待できる病気です。
下記より資料をご覧頂けます。
(「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサスステートメント」(日本内分泌学会)から一部引用)
※PDF形式の文書をご覧いただくには、Adobe® Acrobat Reader(無料)が必要です。
お持ちでない方はこちらから入手できます。(外部サイト)
クッシング症候群
左右の腎臓の上にある副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。
コルチゾールは血糖や血圧の維持や免疫の調節など実にさまざまな働きをしています。コルチゾールが病的に過剰分泌されると高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、生理不順をきたし、顔がむくんだように丸くなる、体幹が太く手足は筋肉が落ちて細くなる、アザができやすい、おなかに赤い妊娠線に似た線がでる、女性では体毛が増えるなど特徴的な外見の変化を伴います。
褐色細胞腫
腎や大動脈の周りにできた腫瘍からアドレナリンや類似ホルモンが分泌され、高血圧、代謝亢進(頻脈・やせ、便秘)、高血糖、頭痛、発汗過多などの症状を呈する疾患です。
高血圧が発作性に起こるタイプもあり、そのようなケースでは普段の血圧は正常でも発作的に動悸・発汗・頭痛とともに血圧が上昇します。吐き気止めや造影剤などの治療薬や検査薬、ストレスや腹部の圧迫などが高血圧発作を誘発することもあり注意が必要です。
先端巨大症
先端巨大症は成長ホルモンの過剰が原因で起こる病気です。
成長ホルモンが過剰になると子どもでは身長が伸びますが、大人では手足が大きくなる(指輪や靴のサイズが変わる)、あごやおでこがでる、鼻が横に大きくなる、噛み合わせが悪くなる、などの外見の変化がゆっくりと起こります。またホルモンの作用により糖尿病、高血圧、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、関節痛、悪性腫瘍などの合併症も出現する可能性があります。ほとんどが脳下垂体に成長ホルモンをつくる腫瘍ができるために起こり、腫瘍のサイズにより頭痛や視野の異常の原因になることもあります。
高プロラクチン血症
プロラクチンというホルモンは脳下垂体から分泌され乳腺の発達や母乳ができるのを促進する作用があります。通常妊娠の終わりから産後にたくさん分泌されますが、それ以外に何らかの病気により血液中のプロラクチンが増える状態を高プロラクチン血症といいます。
高プロラクチン血症は女性に多くみられ、女性では乳汁漏出と性機能低下(月経不順、無月経、不妊)、男性では性欲低下、陰茎萎縮などの自覚症状がみられます。若い女性では生理不順や不妊をきっかけに発見されることが多いです。
原発性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺は甲状腺の裏(背中)側にある米粒大の小さい臓器で通常左右上下に1腺ずつ、合計4腺あります。甲状腺とは異なる作用を持ち、副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウムを調節するホルモンです。原発性副甲状腺機能亢進症では副甲状腺ホルモンがたくさん出てしまい、高カルシウム血症が起こり、尿量の増加、のどの渇き、食欲低下、胃潰瘍などの症状が出現することもあります。また骨がもろく骨折しやすくなったり、血液中に増加したカルシウムが尿にでるため尿路結石を起こしたりします。